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大阪地方裁判所 昭和46年(わ)674号 判決 1971年12月08日

本籍

大阪府泉南郡南海町尾崎町八八七番地

住居

同町七九四番地

医師

広嵜弘一

大正三年一月二一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は検察官田辺信好出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役八月および罰金一〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和二八年一一月から昭和四五年五月までの間、大阪府泉南郡南海町尾崎町七四九番地において、広崎病院の名称で内科・外科医業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一、昭和四二年度分の所得金額は、五二、六五八、三八六円、これに対する所得税額は一八、〇五八、九〇〇円であるのに拘わらず、公表経理上窓口現金診療収入等の一部を除外し且つ架空の薬品仕入等を計上し、これによつて得た資金を架空名義預金口座に預入して簿外にする等の不正行為により、右所得金額中四二、五六〇、七〇〇円を秘匿した上、昭和四三年三月一五日、泉佐野市泉佐野税務署において、同署長に対し、所得金額が一〇、〇九七、六八六円、これに対する所得税額が三、九四二、三〇〇円、これの源泉徴収税額が四、五七七、二九七円で差引納付税額はなく六三四、九九七円の還付を受ける旨、過少に偽つた同年度分の所得税確定申告書を提出し、よつて、同年度分の所得税一八、六九三、八〇〇円を免れ、

第二、昭和四三年度分の所得税額は、五五、三七三、一八七円、これに対する所得税額は二〇、八七一、二〇〇円であるのに拘わらず、前同様の不正行為により、右所得金額中四一、九九九、三五二円を秘匿した上、昭和四四年三月一五日、前記税務署において、同署長に対し、所得金額が一三、三七三、八三五円、これに対する所得税額が五、七〇九、九五〇円、これの源泉徴収税額が五、三一二、八八八円で差引納付税額は三九七、〇〇〇円である旨、過少に偽つた同年度分の所得税確定申告書を提出し、よつて、同年度分の所得税二〇、四七四、二〇〇円を免れ、

第三、昭和四四年度分の所得金額は四六、九〇三、一三一円これに対する所得税額は一七、九四二、七〇〇円であるのに拘わらず、前同様の不正行為により、右所得金額中二四、三三四、〇〇三円を秘匿した上、昭和四五年三月一六日、前記税務署において、同署長に対し、所得金額が二二、五六九、一二八円、これに対する所得税額が一〇、六二七、九〇〇円これの源泉徴収税額が六、四三三、八〇二円で差引納付額は四、一九四、〇〇〇円である旨、過少に偽つた同年度分の所得税確定申告書を提出し、よつて、同年度分の所得税一三、七四八、七〇〇円を免れ、

たものである。

(証拠)

判示全事実につき

一、収税官吏の丹羽義治、松中修治、伊泊鉄夫、広嵜キミ、小沢胤一(二通)に対する各質問てん末書

一、収税官吏の三谷恭子に対する昭和四五年一一月二四日付質問てん末書

一、小沢胤一の検察官に対する供述調書

一、収税官吏岩佐忠男作成の調査てん末書

一、収税官吏の被告人に対する各質問てん末書(一六通)

一、被告人の検察官に対する各供述調書(二通)

一、領置してある昭和四三年度分総勘定元帳一綴(昭和四六年押第六七四号の二)、納税帳二冊(同号の八)、給料台帳一綴(同号の一五)、阪奈病院収入額一冊(同号の二一)、昭和三五年一月から昭和四五年四月までの広碕病院収支額一冊(同号の二二)、給料台帳一綴(同号の二五)、昭和四四年阪奈病院給料台帳一綴(同号の二八)、昭和四四年度分給料台帳(同号の二九)、退職者分給料台帳一綴(同号の三〇)、看護料請求控一綴(同号の三七)

判示第一の事実につき

一、収税官吏の三谷恭子に対する昭和四五年八月二六日付質問てん末書

一、吉本宣幸作成の確認書

一、泉佐野税務署長認証の昭和四二年度分所得税確定申告書謄本一通および同年度分所得税修正確定申告書謄本二通

一、領置してある昭和四二年度分総勘定元帳一綴(前同押号の一)、同年度分領収証綴一二綴(同号の一〇)、同年度分源泉徴収簿一綴(同号の一四)、昭和四一年一二月から昭和四三年一二月までの領収書綴一綴(同号の一六)、金銭出納帳一冊(同号の一七)、あびこ医院出納帳一冊(同号の一九)、納税帳六冊(同号の二四)、昭和四二年阪奈病院源泉徴収簿一綴(同号の二七)、看護申請一冊(同号の三一)、広崎病院所得税申告書控決算報告書一綴(同号の三二)

判示第二の事実につき

一、菅沼義雅作成の確認書

一、泉佐野税務署長認証の昭和四三年分所得税確定申告書謄本および同年度分所得税修正確定申告書謄本

一、領置してある昭和四三年度分振替伝票一綴(前同押号の四)、同年度分領収証綴一二綴(同号の一一)、同年度分源泉徴収簿一綴(同号の一三)、あびこ医院出納帳一冊(同号の一九)、阪奈病院建設費(同号の二〇)、昭和二七年初病院建設費用一冊(同号の二三)、広崎病院所得税申告書控決算報告書一綴(同号の三二)、昭和四三年度分阪奈病院源泉徴収簿一綴(同号の三四)

判示第三の事実につき

一、収税官吏の柳田操に対する質問てん末書

一、泉佐野税務署長認証の昭和四四年分所得税確定申告書謄本

一、領置してある昭和四四年度分総勘定元帳一綴(前同押号の三)、同年度分振替伝票一綴(同号の四)、同年度分給料支払台帳一綴(同号の六)、同年度分源泉徴収簿一綴(同号の七)、柳田薬品商会納品書領収証一綴(同号の九)、昭和四四年度分領収証綴一二綴(同号の一二)、小切手帳半片三三冊(同号の一八)、始末書綴一綴(同号の二六)、昭和四四年分減価償却明細書一綴(同号の三三)、同年度分阪奈病院源泉徴収簿一綴(同号の三五)

(法令の適用)

被告人の判示各行為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑と罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で、罰金刑については同法四八条二項により各罰金額を合算した金額の範囲内で被告人を懲役八月および罰金一〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは同法一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、なお情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

(裁判官 梶田英雄)

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